正しい色の歩行者たち

要旨

社会において誠実さの証とされる言行の一貫性は、本当にそれ自体が尊ばれているのだろうか。人々が過去の発言と現在の行動の矛盾を激しく非難するとき、その視線の先にあるのは論理の美しさではない。めまぐるしく変化する広場の流行において、常に多数派の群れの中に身を置き続けることこそが唯一の正解であり、一貫性という言葉は、最新の流行に従わない者を群れから排除するための便利な道具として消費されている。

キーワード
広場の旗、多数派、言行の矛盾、流行の衣服、排除の道具

朝の広場と青い帽子の安心

その街の中央には、誰でも自由に行き来ができる大きな広場があった。広場に集まる人々は、いつも穏やかな顔をして、お互いの誠実さを褒め合っていた。この街では、一度口にした約束を守ることや、昨日言ったことと今日言うことを変えないことが、何よりも大切な美徳とされていた。学校でも、家庭でも、人々はそう教えられて育つ。言っていることがコロコロと変わる人間は信用されない。それがこの場所の、ごく当たり前の決まりごとだった。

ある朝、男は青い帽子をかぶって広場へ出かけた。なぜなら、前日に広場の長老たちが「これからの季節は青い帽子こそが誠実の証であり、知性の象徴である」と熱心に語っていたからだ。周囲を見渡すと、広場にいる人々の八割が同じように青い帽子をかぶっていた。人々はすれ違うたびに、お互いのお行儀の良さを確かめ合うように深くお辞儀をした。青い帽子をかぶっている者同士の間には、言葉にせずとも伝わる強い信頼関係のようなものが流れていた。男は自分の選択が正しかったことを確信し、誇らしい気持ちで胸を満たした。

広場の隅には、数人の若者が集まっていた。彼らは赤い帽子をかぶっていた。人々は彼らの脇を通り過ぎるとき、わずかに眉をひそめ、冷ややかな視線を送った。若者の一人が「昨日の夕方までは、みんな赤い帽子が良いと言っていたじゃないか」と不満げに声を上げたが、青い帽子の集団は誰も耳を貸さなかった。それどころか、「あいつらは一晩で物事の流れが変わったことも理解できない頑固者だ」と、ひそひそ声で笑い合った。男もまた、その笑い声に小さく調子を合わせた。多数派の中にいることは、何よりも心地よく、そして安全だった。

風向きの急変と新しい着こなし

昼過ぎになると、広場の中央にある大きな塔から、新しい鐘の音が響き渡った。それは街の流行が変わったことを知らせる合図だった。塔のバルコニーに立った案内人が、大きな声で告げた。「本日これより、最も高貴なる色は黄色となる。黄色を身にまとう者こそが、時代の先端を歩む真の市民である」。

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、広場の様子は一変した。人々は驚くべき素早さで鞄を探り、あらかじめ用意していたかのように黄色いスカーフや黄色い手袋を取り出して身に付け始めた。さっきまで青い帽子を誇らしげにかぶっていた紳士も、隣の婦人も、またたく間に全身を黄色い装飾で覆い尽くしていった。彼らの動きには一切の迷いがなかった。それはまるで、あらかじめ決められていた規則に従う機械のようだった。

男は困惑した。なぜなら、午前中にあれほど「青こそが誠実の証だ」と言い合っていたはずの面々が、何の釈明もなく正反対の色に乗り換えていたからだ。男がそのまま青い帽子をかぶっていると、先ほどまで親しげに微笑みかけてくれた隣人が、今度は不審なものを見るような目で男を凝視した。「あなた、まだそんな古いものを身に付けているのですか。今の流行は黄色ですよ」と隣人は言った。男は慌てて反論した。「しかし、あなたは朝、青い帽子を一貫してかぶることの大切さを説いていたではありませんか」。隣人は冷たく笑った。「それは朝の話です。状況は常に変わるのです。今の黄色に従えないのは、あなたの心が頑なだからです」。

評価の重み = 多数派との距離の近さ ÷ 過去の発言との整合性

この広場において、過去の発言との整合性などというものは、状況が変わればすぐに投げ捨てられる程度のものに過ぎなかった。人々が求めているのは、論理の正しさや一貫性ではなく、ただ「その瞬間に最も人数の多いグループと同じ姿をしていること」だった。それに乗り遅れることは、この街においては社会的な死を意味していた。

非難の矛先が向かう場所

夕方になると、広場の中心には完全に黄色い集団が出来上がっていた。そして、その隅には、依然として青い帽子をかぶったままの男と、朝からずっと赤い帽子を変えなかった数人の若者たちが取り残されていた。黄色い集団の中から、一人の男が歩み出て、青い帽子の男を指差した。「見ろ、あいつは言行不一致の裏切り者だ。昨日は赤い帽子が良いと言っていた形跡がある。それなのに朝は青い帽子をかぶり、今は黄色になろうともしない。全く一貫性のない、信用できない人間だ」。

周囲の人々が一斉に同調し、男を激しく非難し始めた。男は必死に声を張り上げた。「一貫していないのはあなたたちのほうだ。昼の鐘が鳴った瞬間に、全員で青から黄色へ意見を変えたではないか」。しかし、その声は多数派の大きな怒号にかき消された。多数派の人間にとって、自分たちの変化は「柔軟な進化」であり、少数派の留まりは「怠慢な矛盾」として解釈される。ここでは、人数の多さそのものが真偽を判定する裁判官となっていた。

矛盾の定義 = 多数派の移動速度 > 個人の追従速度

結局のところ、一貫性という言葉は、誰かの不誠実さを告発するために使われる便利な大砲に過ぎなかった。その大砲の引き金は、常に人数の多い側が握っている。流行の衣服を素早く着替える器用さを持たない者が、その着替えの遅さを「一貫性の欠如」という名目で処刑されるのが、この広場の現実だった。男は非難の嵐の中で、自分が守ろうとした一貫性が、単なる孤立の別名に過ぎなかったことに気がついた。人々は正しい論理を愛しているわけではなく、ただ一人になる恐怖から逃れるために、全員で同じ色の旗に群がっているだけなのだ。

夜の帳と残された帽子

夜になり、広場からはほとんどの人が立ち去った。街灯の光に照らされた石畳の上には、昼間の大騒ぎのなごりである、ちぎれた青い布切れや、踏みつけられた赤いリボンが散らばっていた。結局、あの激しい非難の嵐を避けるためには、論理的に正しいことを言い続けることなど何の意味も持たなかった。ただ、塔の鐘の音に合わせて、誰よりも早く自分の皮膚の色を塗り替える準備をしておくだけでよかったのだ。

男は静かになった広場のベンチに腰掛け、手元に残った青い帽子を見つめた。街の誰もが、自分のことを「一貫性のない不誠実な人間」として記憶したことだろう。明日、塔の鐘が何色を告げるのかは誰にも分からない。しかし、広場の人々は皆、枕元にすべての色の帽子を用意して眠りについているはずだ。次に鐘が鳴ったとき、再び「誠実な市民」の仮面をかぶって、一貫性のない誰かを一斉に指差して笑うために。

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